中央公論の3月号 太田光×松原隆一郎 対談

少し古いのだけど、中央公論の3月号にお笑いの大田光松原隆一郎の対談があり、なかなか面白い。

ひとつは、近年の年功序列の崩壊から即戦力志向が強まっている中で、自分がキャリアアップするために投資が欠かせないという人が多い傾向について

いまたくさんあるお笑い養成所を否定するわけではありませんが、僕自身は若手の育成などまったくしません。ネタにだめ出しをしたりすることもほどんどありませんね。つまり自分が、そういうことをやられたくなかったんです。コンテスト番組の審査員にとやかく言われるのも、ものすごく腹が立ちました。「お前に何がわかるんだ」と。
(略)
そしてきっとお笑いだけではなくて、世の中のほとんどのことについて、本当に内容のあることを教えることなんてできないんだと思うんです。

彼に言わせるとキャリアを身につける教育投資なんて安心料金だろうし、好奇心がことなる人間に対して標準化した第三者教育機関で価値ある伝承なんてできないのだから、と主張する。自身の笑いの源泉がオリジナリティーに富む太田氏ならではのコメントで、ビジネスパーソンにも示唆がある。


そして彼は学校教育にも切り込んで言及する。

それにいまから振り返ってみて、なぜ僕が学校教育に乗り気になれなかったかというと、学ぶ順番を全部決められてて、好きなことから学べなかったからだと思うんです。好奇心が持続しなかったんですね。歴史の教え方にしても、縄文時代から順に始まるから、すぐに飽きてしまう。むしろ現代からもどってくれたほうが、僕の場合は好奇心が持続したと思いますね。もっというと、学科で区切ってしまうのがすごくつまらない。

学校時代は本当につまらない時間を費やしたという話をテレビで見聞きしたが、そういう太田が自己表現できるテレビという部隊をみつけたのは、決して運だけじゃない。自分の直感を信じて、好きなことをやり抜いて、そしてそれが経済的な対価につなげられるような努力もしたんだろうと思う。

また、これから家族の教育を真剣に考える機会がぐっと増える時期である同世代の私たちには、ヒントにもなる。

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