予定調和のメンタルモデルを壊す
頭より心で考えたほうが理解のショートカットができると思う。
羽生 対極のおもしろさって、そこだと思うんですよ。予想外の事態が起きること、そこから何かを発見して自分を成長させること。自分で考え付く範疇を超えた展開になったときに新しいものが生まれてくるんです。瓢箪から駒みたいな感じで。
二宮 たしかに情報化が進むと、どうしても単調な方向に流れがちですよね。みんなが同じ情報を共有して、おそらく同じような分析をするんでしょうから。そうなると予定調和で退屈な試合が増えてもおかしくない。
羽生 そうなんです。どうしても決まりきったパターンとか、予定調和の世界へと流されがち。でも、それを繰り返すと、狭いほうへ狭いほうへ進んでいることになる。それじゃあ、将棋の進歩はないと思うんですね。
- 作者: 羽生善治,二宮清純
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2007/10/01
- メディア: 単行本
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理解の範疇は、いままでの生きた経験から無意識に形成されている。理解の範疇が縮小均衡だと感じているから、むしろ範疇外にある意外性を楽しんだり、リスクがある方向をとる。
理解の範疇に収まりたい欲求は、安心感なんだろうな。でもそれを超えるほうが安定しないけど面白さがある意味がやっとわかった。将棋が勝ちに進む必要があるように、ビジネスシーンにも企業が継続的にパフォーマンスを高めていく絶対的な価値がある。羽生がいっているのは、あえて勝ちパターンにはめないといっていて、経営でいえば、当たり前の事業運営をあえて踏みはずせという。
問題の原因を発見して、解決する良薬を投じるあたりまえパターンより、あえて問題を解決しない方向性だってありなのだ。医者でいうなら必ず薬を出すパターンではなくて、自然治癒を引き出す処方箋だ。